月別アーカイブ: 2007年10月

業界誌が語る、コーヒー業界の現実


先日、生豆の取引き先から、業界向けに刊行されている冊子を回していただきました。
「珈琲と文化」というタイトルのその業界誌は、珈琲に関する興味深い記事が満載されていて、なかなか読み応えのあるものでした。
その中の一つに、コーヒー焙煎業者の売り上げが、近年減る一方で深刻な経営危機の状況にあるという記事に目を引かれました。
ところが、焙煎豆の販売が振るわなくなっているにも関わらず、コーヒー豆の輸入量は逆に増えているのだそうです。
その理由の一つに、自家焙煎する喫茶店が増えていること、もう一つに一般のコーヒー愛好者の方々の中にも、自家焙煎に挑戦する方が急速に増えていることがあるようです。
なるほど、私も素人からいきなり飛び込んだ口ですからね。
またこうした現象の背景には、喫茶店業界の激変、つまりコーヒーの飲まれ方の変化があるそうです。
例えば今、市中で飲まれるコーヒーの主流は、スターバックスに代表されるファーストコーヒーだそうで、既存の喫茶店は大変厳しい淘汰の波に洗われています。
自家焙煎を、生き残りの作戦の一つとして取り入れる店も出てくるわけですね。
それからもう一つ、最近若い年代を中心に消費者のレギュラーコーヒー離れが進んでいるそうで、つまり皆さん家庭ではコーヒーを入れなくなっているということなんですね。
これは焙煎業者にとって、とても恐ろしい現実です。
スーパーマーケットに行くと、いつも気にして見るのですが、コーヒーの商品棚の大半を占めているのは、インスタントコーヒーですね。
もうすっかり否定的状況が出揃った感がありますが、それでも私は、密かに思っています。
コーヒーは嗜好品です。
だから、何でもありなんです。
それぞれ独自の生き残りが可能だと。
そして、コーヒーだけを売っているのじゃないってことを忘れたくないですね。
付随して、目に見えない色々なものがくっ付いているんです。
センスとアイディアを大切に、どういうスタンスになっても、とにかくコーヒーと関わることを止めないでやって行こうと思っています。

  村上の紅茶



先週の紅茶の記事にコメントをくださったsumiさんが、つい先日、話題のお茶の北限の地村上の紅茶をおみやげにご来店くださいました。
しかも、同じ茶葉から加工した煎茶も一緒です。
とりあえず先に、興味をそそられた紅茶の方をいただきました。
色合いは、渋くて淡いオレンジ色って感じですが、風味に驚きましたね。
繊細でやわらかくて、甘みを感じる、やっぱり日本の紅茶ですね。
すごく良かったです。
お茶菓子も和風が合いそうな気がします。
今度、煎茶も同時に入れて、飲み比べしてみます。

売れ残ったパンはどうする・・・。



当然のことながら、いつでもピッタリ売り切れというわけには行きません。
いつも多めに焼くようにしていますから、売れ残りが出るのが常です。
たいていは、自分たちで食べてなくなってしまいますが、たまに予想外に多く残ると一週間で食べきれないことがあります。
パン好きの私たちですから、そんな時は一日二食パンになったりします。
でも、ちゃんと副食も取るよう心がけています。
最近、あらためて黒パンのおいしさを見直しているところで、私などは、ちょっとお腹が空いた時は、黒パンをうすく切ってそのままかじっています。
たとえば朝は、黒パンとチーズ1かけ、それに旨いコーヒーと手づくりヨーグルトにりんご1かけくらいあれば、十分満足です。
夕食だったら、パンとスープと惣菜が2~3品、食後にハーブティーとフルーツがあれば大満足。
もちろん、お米のご飯も大好きですが、パンでもご飯でも、どちらでも同じように満足出来ます。
ちなみに、うちはずっと玄米食です。




  スープストック
今日は、先日の鴨のガラを使ってスープを取りました。
玉ねぎ、セロリ、にんにく、ベイリーフ、黒胡椒の粒などと一緒に1時間半ほど煮込んで、熱いうちに漉してスープストックとして保存します。
使う時は、2倍くらいにうすめて使えます。
味付けの仕方で、いろいろなスープが出来ます。
ただし今日の鴨スープは、やっぱり少しクセのある臭いがしています。(肉の方は、臭いは気になりませんでしたが・・・)
カレーのような、スパイスを沢山使う料理ならいいかも知れません。
でも、最後の一滴までいただきます。

  更新情報
「食工房のパンだより・27 晩秋号」のpdfファイルを、食工房のホームページにupしました。 ファイルへのリンクは<こちら>

パンだより、編集中

本日は、「食工房のパンだより」印刷バージョン編集中につき、特に記事を書きません。
創刊号では、「パンダよりパンだより」とシャレていましたが、途中から恥ずかしくなって止めました。
五味太郎の「ことわざ辞典」には、「パンダよりパンだ!」というのがありました。
「花よりだんご」の現代版だそうです。

命を喰らう

先日、近くの知り合いから合鴨を一羽いただきました。
もちろん生きているのを。
それを自分でシメて、解体調理して、鴨汁をつくって食べました。
久々に貴重な体験をさせてもらいました。
鶏は、今までにも何度かやったことがありましたが、合鴨は初めてです。
何しろきれいな目をした、可愛い顔をしているので、手をかける覚悟を決めるまでに、少し時間がかかりました。
でも、肉を食べるということは、何にせよ相手の命を絶つことに他ならないのですから、その覚悟が出来ないなら肉を食うべきではないですね。
そう思って、家の裏にある屋敷稲荷に詣で、祈りを捧げて覚悟をいただいて来ました。
首を落として、死んで行く命に触れながら目を閉じ、「お前の痛みも、苦しみも、ひょっとして恨みも、すべて引き受けるから乗り移っておいで。」と呼びかけると、目の前が突然明るくなり、白く光る玉がいくつも自分に向かって飛んで来るのが見えました。
その日の夕食に鴨汁をいただきながら、肉はこうして年に何回か、覚悟に見合った分だけ食うべきものなのかも知れないと、思うことしきりでした。
まさに命の重みを食す、静かな喜びを味わいました。

さて、肉は食べてしまいましたが、ガラがまだ残っていて、これからおいしいスープをつくろうかと思っているところです。
脂身からとった油も残してあって、野菜炒めなどに少し使うと、ダシが出てとてもうまいです。

秋深まり、やがて雪

今日も朝からずっと雨でした。
台風の影響もあるのでしょうが、どちらかというと日本海側の気候のここ会津では、これからの季節、ぐずついた空模様が多くなります。
そして一雨ごとに冷え込みが強くなり、やがて雨はみぞれに、そして雪に変わります。
私は、五十過ぎまでずっと太平洋側の気候帯に暮らしましたので、秋から冬の間はいつも晴れている風景に馴染んでいます。
ですから、まだこちらの気候には、すっかり慣れたというわけには行きませんが、それでもこちらにはこちらの良さがあり、けっこう気分良く過ごせるという気がしています。
雪とのつきあいは、確かに大変なこともあるのですが、一方、雪が会津の豊かさを保証する大切な水資源であることは間違いありませんから、私は雪が降る度に、一人密かに手を合せて「ありがたい、ありがたい・・・。」と唱えています。
うす暗い空から雪が落ちてくる様子を眺めていると、正直、飽きることがありません。
ただ、そうぼんやりと雪を眺めているわけには行かないことがほとんどですから、いつも思いを断ち切るように止めなくてはならないのが、残念でなりません。
子どもじみていると言われればそれまでですが、私の場合、いくら歳をとってもこの気持は無くならないと思います。

それで先日河原に行った時、雪の季節になったら「顔たち」にも会えなくなるし、第一、春までそのまま残っているわけもないと思い、写真を撮りました。
「顔たち」は、今年の春から今まで壊されもせずに、ずっとそこに居ます。
その一つに誰かが、砂を固めて作った見事な玉をお供えしてくれたのを見つけた時は、しみじみ嬉しかったですね。
両頬にお化粧もしてくれてました。
それでは、面々の姿をご覧ください。





ゆるやかな一日

今日は、午前中にスコーン1種類と、午後にクッキー1種類の2品だけの仕事で、少しゆるやかな一日になりました。
昨日、今日の準備をしていて、無くなったまま未入荷の材料があることに気がつき、中止になったものが一つありましたので、そのせいもありました。
本当は、アプリコットケーキもやりたかったのですが、そこへ、未入荷だった材料が他のものと一緒に届き、そちらの始末をしなくてはならなくなって、それも延期となりました。
食工房では、レーズンなどのドライフルーツは、オーガニックのものをケース単位で仕入れ、自分で小袋に詰め直して脱酸素剤を入れ、シールして保存しています。
こうしておけば、半年くらいおいても品質は全く劣化しません。
今日は、サルタナレーズンとカレンツのケース、アールグレー紅茶の1㎏袋を仕入れましたので、それらの小分け作業で残りの時間を費やしました。
製品を造るのに比べたら、はるかにテンションのゆるい仕事ではありますが、まあ、こんなところにも手間ひまかけてコストダウンの努力をしているわけです。

今日はまた、雨模様ということもあって、午後はお客さまも少なく、ご常連の方がお一人、お茶を飲みにいらしてくださいましたので、私たちの3時のコーヒータイムをご一緒させていただき、しばしおしゃべりに花を咲かせました。
たまにはこういう時もないと体力が持ちませんが、かと言ってずっとヒマだとそれも困るし、一日一日がライブステージみたいなものだと思ってやるしかありませんね。

さて明日はまたパン焼きです。
最近は、カネリプッラ(シナモンロール)が、とてもかわいくきれいに焼けるようになり、よく売れるようになりました。
正直なものですね。
これからもがんばりま~す!

ヨーグルトをつくりました。

昔はよくやったものでしたが、本当に久しぶりにヨーグルトをつくりました。
それというのも、行きつけの生協で、生乳100%のヨーグルトを売らなくなったからです。
自分でつくると言っても、市販されているヨーグルト菌を使ってつくるのですから、簡単と言えば簡単です。
ただし、このヨーグルト菌がそこそこ値段の高いものですから、手づくりの方が安いというわけには行きませんが、原材料の牛乳は地元の低温殺菌牛乳「会津のべこの乳」を使いましたので、品質は言うことなしです。
保温も、パン用の保温庫(ホイロ)を使えば40℃保持も問題ありませんから、こんなに条件が揃っているのに何でやらずにいたのか・・・、余裕がなかったんでしょうね。

ちょっと話が脇道にそれますが、酵母菌と乳酸菌(ヨーグルト菌もその一つ)は、切っても切れない共生関係にある微生物で、食工房のパン種の中にも天然由来の乳酸菌が入っています。
醗酵の仕事というのはいろいろ関連があって、やり出すと面白くて止められなくなりそうです。
パンづくりは酒づくりに結びつきますし、ヨーグルトづくりはチーズづくりへとつながっています。
そうそう、このヨーグルト菌も継ぎ種して行くことが出来るのです。
ただし、管理はかなり難しそうです。

さて、昨日午後から仕込んで、夜遅くに出来上がったヨーグルトを、冷蔵庫に移して一晩熟成させ、今朝一番に味見しましたが、なかなか上等です。
今度から、ヨーグルトも自家製するしかなくなりました。
ということは、アプリコットケーキに使用するヨーグルトも自家製ということになります。
「会津のべこの乳」を使った、生乳100%のヨーグルト入りのアプリコットケーキのお味を、どうぞお楽しみに!

Gratitude/グラティチュード


Cafe  Gratitude


食工房の自家焙煎コーヒー豆を使ってくださっているお店を、また一つ紹介いたします。
民家を、そのままカフェにしてしまったこのお店は、まるでお友達の家に訪ねて行って、お茶をごちそうになる時のようにくつろぐことが出来ます。
お店の名前、Gratitude/グラティチュードは、英語で「感謝」の意味だそうです。
場所は、仙台市内の住宅地の中。
仙台駅から歩いても30分位、もちろん近くにバス停もある、そこそこ便利な所です。


営業は、平日、月~金の11時~16時まで。 土、日、祝祭日は、お休みです。 
また、12月1日から3月いっぱい冬季休業になります。

 <メニュー>
おまかせランチ
玄米と白米のハーフミックスライス、スープ、小鉢一品、サラダとお惣菜4品の盛り合わせ一皿、漬け物 700円
食工房の自家焙煎コーヒー、各銘柄 450円
無農薬有機栽培紅茶、カフェラテ、チャイ、ココア、ハーブティーなど飲み物メニュー多数
オーナーの手づくり、野菜入りケーキも興味をそそられます。


 <交通>
仙台駅から徒歩30分、お腹を減らして到着後、いただくランチは特別おいしいかも。


仙台駅よりバス便あり、北6小学校前バス停下車3分


仙山線東照宮駅より徒歩10分


 <住所番地>
〒980-0005 仙台市 青葉区 梅田町 1‐56 ☆地図へのリンクは<こちら>


 <お問合せ> TEL 022-271-4431



お友達のお家の中みたいな店内


縁側のくつろぎスペースがおすすめ。
外は、オーナーの菜園になっています。


☆仙台及び近郊にお住まいの方、またこの方面にお出かけの方、ぜひお立ち寄りください。

戦争の証言者






これが、8月13日の記事「戦争を語ってくれた人たち・その3」に登場した飯炊き釜です。<参照>
先日、高知の実家に出かけた折、写真を撮って来ました。
今は使っていなくて、押入れにしまってありましたが、きれいに磨かれていて何だか安心しました。
「フタもあるよ。」と妹が声をかけてくれましたが、この釜の本体を見ただけで感激してしまいました。
60余年前、東京の地でアメリカ軍の空襲に遭い、奇しくも焼け残った釜です。
母は、夜寝る前に、鍋釜の類には全て水を張っておいたそうです。
そのおかげで、フタは燃えてなくなったのに、釜だけは助かったわけです。
空襲の火災では、アルミの釜などひとたまりもなく溶けてしまったと言います。
後に、フタは新しいものを作ってもらい、ずっと家で使っていました。
何度も引っ越ししたのに、こうして無くならずに残っているのは、何だかとても意味のあることに思えます。
まさに、戦争の証言者です。

戦争なんて、永久にご免こうむりたいと思いますが、何だかこの頃、日本も世界も不穏な空気に満ち満ちているように思えて、とても気がかりです。
今も、アフガニスタンやイラクで、明らかに戦争状態が続いていますが、実際に銃弾が飛び交っていない国に暮らしていても、私たち世界中の人間は、ある意味で戦争当事者であることを自覚しなくてはならないのだと思います。
今こそ、戦争と平和について、深く、深く考えて見る必要があるのではないでしょうか。

  おしらせ
平和の象徴、憲法九条を守る会が、全国のあちこちで狼煙を上げています。
我が山都町にも「山都町九条の会」が発足し、活動を始めています。
会のブログも立ち上げられました。
皆さまにも、ぜひともご覧いただきたく紹介申し上げます。
ブログ「平和のつくり方新聞」へのリンクは<こちら>

飯豊山、初冠雪

このところ、朝から日没までずっと仕事に追われていて、ちょっとの合間に一回り散歩をと思っても、それが果せません。
それでも今日は、明るいうちに一区切りついたので、娘の運転のトレーニングを兼ねて買い物に出かけました。
家を出てすぐのカーブを曲がった途端、目に飛び込んで来た景色に思わず「おお!」と声が出ました。
飯豊山は昨日一日の間に、かなり下の方まで白くなっていました。
さて、この冬の雪はどんなでしょう。
雪も、降る時にはそこそこ降らなくては、自然の恵になりません。
もし会津で、周りの山に雪がなかったら、砂漠になっていたかも知れません。
飯豊山は、何と言ってもその名の如く、椀いっぱいに盛った飯のように真っ白な姿が似合います。
残念ながら私は、今年も飯豊山行は叶いませんでした。
せめて麓を歩きたいと思いますが、それさえどうでしょう・・・。
でもこれから来年の春まで、雪化粧した美しい山容を眺められるのは、私のさやかな楽しみの一つです。
あと一ヶ月もするうちには、下界にも初雪が降っていることでしょう。
大変ではありますが、私は、雪のある冬の会津が好きです。