日別アーカイブ: 2007年11月8日

小麦の話


レーズンロール 3個入り210円


カネリプッラ(シナモンロール) 近頃、近所のおばあちゃんのお気に入り


もう何度も申し上げていますが、食工房では国産小麦の粉を使っています。
小麦は、言うまでもなく農産物ですから、品種により、またその年の気候条件により、品質が異なります。
使う側の都合上は、常に一定した品質が望まれるわけですが、それは無理な相談です。
食工房では現在、岩手県産の「南部」という品種と「ゆきちから」という品種の粉を仕入れ、目的に応じてブレンドして使っています。
ご存知の方も多いと思いますが、パンの食感に大きく影響するのは、小麦に含まれるグルテンという蛋白質の量です。
グルテン量が多いほど、パン向きの小麦ということになっています。
小麦のグルテン含有量は品種によって固有ですが、栽培時の気候条件にも左右されます。
トウ熟期(開花受粉後から収穫までの期間)の気温が低い方が、グルテン率が上がる傾向にあります。
当然、冷涼な気候帯の方が、パンにとっては良質の小麦が出来ることになります。
たいていの場合、小麦は秋蒔きで越冬栽培され、初夏に収穫されますので、トウ熟期は気温の上昇期に当ります。
この点、北海道で栽培されている「はるゆたか」などは、春蒔きして秋に収穫しますので、トウ熟期は良い条件となります。
実際、北海道の小麦は、十分なグルテン量があります。
ところが、小麦の風味という別の要素があって、こちらはパンの食味に影響します。
私の経験から言わせてもらうと、グルテン量の多い小麦は、風味という点で多少劣っています。
甘みや香りという点で不満があるのです。
その点、岩手の「南部」は、素晴らしいです。
元々はうどんやソーメンなど製麺向きらしいですが、小麦らしい穀物の風味濃厚な粉で焼くパンは、酵母の醸し出す風味と相まって、とても好ましいと思っています。
以前は何でも、この「南部」100%でやっていたのですが、こちらで商売するようになって、お客さまの食感へのニーズに応えるため、よりグルテン量の多い「ゆきちから」をブレンドしています。
「ゆきちから」は、福島県の地元でも栽培されていますが、先に述べた条件を考えて岩手県産を使っています。
ちなみに北海道産の「はるゆたか」も使ったことがありますが、品質はともかく、生産量が少なく高価なこと、北海道からの運賃がかさむことなどの理由で、今は使っていません。
さて、本日も忙しい木曜日、パン焼きの日でした。
このところ酵母の調子が絶好調で、風味も食感も満足な出来になっています。
半端生地を焼いたものを、ちょいちょいつまみ食いするのが、パン屋だけの密かな楽しみとニンマリしながら、次々と焼き上がったパンを釜から出す時が、パン屋にとって至福の時です。



これが今日の朝食 豪華!