モミの木


   山のクリスマス



山暮らしをしていた時、家のまわりの山に自生している木々の中で、針葉樹と言えばモミでした。
杉やヒノキは整然と植林されて固まっていますが、モミはあちこちに点在するように大木が育ち、あたりには幼木が沢山生えていました。
広葉樹は、どれも下のほうから枝分かれして、樹形は大きく広がっていますが、モミは幼木の時からどこまでも真っ直ぐ上に向かって伸びて行きます。
幾何学的な枝や葉の付き方に、私はいつも、目に見えざる者の意志を感じていました。
私はこのモミの木が大好きで、よく写真を撮っていました。
幹の直径が1.5m以上もありそうな大木があり、その下のあちこちにつま楊枝よりもずっと細い実生が育っている風景は、その場にいるだけで胸が熱くなります。
そしてクリスマスの頃初雪が降り、翌朝、裏山に行って見るとご覧のとおり・・・、こんなに気のきいたプレゼントはありませんね。
我が家で一度だけですが、裏山からモミの幼木を根ごと掘り出して家の中に仮植し、クリスマスの飾り付けをしたことがあります。
終わったあとは、また裏山に植えなおしましたが、ちゃんと元通り根付きました。
こちらに来てからは、標高が低いからでしょうか、あたりにはモミの木は見られません。
それだけが、ちょっと寂しい私です。

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